2013年03月24日

オバマ政権下のITマネジメント改革

2.1. オープンガバメントの概略:オープンガバメントの原則と指針

オバマ政権のIT戦略はオープンガバメントの名でよく知られる。オープンガバメントの骨子は徹底した情報公開と国民からの声の収集という正に開かれた行政の実現にあるが、このメカニズムを援用する形で強力なITマネジメントの手法が確立しつつある。後続の議論のため、ITマネジメント改革から少し離れてオープンガバメントの概略について述べると共に、先進的な情報公開の状況と、情報公開に基づくマネジメント改革の例を紹介する。

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透明性とオープンガバメント

オープンガバメントとはオバマ大統領が就任初日に打ち出した行政指針であり、徹底した情報公開と国民からの声の収集、その向こうにある協業を骨子とした行政改革の取組である。端的には情報公開法(FOIA*1 )の施行強化の延長にある施策と言えるが、ただ情報公開の範囲を拡げるという程度に留まるものではなく、政府の有する情報は原則として公開されるものであって非公開となるものは例外的に認められるに過ぎない、という姿勢を明確にしたことに従来の情報公開法の運用には見られない画期的な性質がある。

オープンガバメントの根拠通達となっているのは3つの通達である。最初の2つはオバマ大統領の就任初日である2009年1月21日に通達され、1年間の準備を踏まえて3つめは同年末に通達された。

1通目は「透明性とオープンガバメント」と題する通達*2である。「オープン性は我々の民主主義を強化し、行政の効率と実効性を後押しする」という理念の下に、新政権が「過去に類を見ない水準のオープン性を政府内に生み出すことを決意」し、オープンガバメント推進の3原則を示した。

  1. 政府は透明性を保たなければならない(透明性原則)
    • 政府の透明性とは、政府が何を行なっているかについて国民への情報提供を行い、説明責任の履行を促す特質である。連邦政府の管理する情報は国家の資産であるとの観点の下に、現行法の範囲内で一般公衆による迅速で容易なアクセスを可能にすることが第1の原則である。その際、各省庁には情報公開の手段として新しい技術を積極的に利用することを促し、また、公開すべき情報と公開のあり方について問うべく国民の声を直接に収集することを各省庁に求めた。
  2. 政府は参画を受け入れるものでなければならない(参加原則)
    • 一般公衆の参画は行政の実効性を高め意思決定の質を改善するとの前提に立つと共に、社会の中に広く分散した知へのアクセスを得ることで行政自身が改善の利を得ることができるとした。この論理に沿い、政策上の意思決定過程に対する一般公衆の関与機会を増すことが第2の原則である。また、どのような意思決定過程について関与機会を増すべきかの判断についても国民の声を集めて判断すべきであるとした。
  3. 政府は協業を進めるものでなければならない(協業原則)
    • 協業を通じて政府と国民の関係が深まるとし、政府内外、官民、営利・非営利の垣根を超えた協業機会を増すことが第3の原則である。この原則についても新技術の駆使や国民の声の収集に基づく協業機会の模索を求めるべきとした。

本通達は、原則に従ったより具体的な施策をまとめたオープンガバメント指令を後日公開すると予告して終わっている。これらの原則に沿った取組の基盤としてはITの活用が強く意識されており、予告されたオープンガバメント指令の策定に先駆けた各省庁からの意見収集には、連邦CTOと一般調達庁が協力して当たるものとした。

>>次ページ情報公開法

*1
FOIA : Freedom of Information Act
*2
M-09-12, “President’s Memorandum on Transparency and Open Government - Interagency Collaboration”, (OMB, 2009/02/24)
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/assets/memoranda_fy2009/m09-12.pdf

※一般に公開された通達の日付は02/24となっているが、添付されている大統領からの覚書”Transparency and Open Government”の日付は01/21となっている。