2013年03月24日

オバマ政権下のITマネジメント改革

3.3. ITダッシュボードとTechStatセッション:ITダッシュボード上の情報

ITダッシュボードは連邦政府内の各省庁の主要なIT投資プログラムについて情報公開を行うWebサイトである。ITダッシュボードには「ポートフォリオと詳細情報」「全体構造とトレンドの可視化」「分析のためのデータ抽出」という3つの側面からデータを閲覧する機能があり、行政IT投資の国民による分析を可能にしている。

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既述の通り、ITダッシュボードは連邦政府内の各省庁の主要なIT投資プログラムについて情報公開を行うWebサイトである。公開の元となる情報は、クリンガー・コーエン法の定めるCPICの一環として、毎年の予算プロセスを通じて行政管理予算局に集約された書式53(ポートフォリオ)および書式300(ビジネスケース)と呼ばれる提出資料に記載された情報である。本稿執筆時点では連邦政府の27省庁 の情報が掲載されている。

ITダッシュボードには公開情報を多面的に閲覧するための機能が備わっている。閲覧機能は次の3系統に分けることができる。

  1. ポートフォリオと詳細情報
  2. 全体構造とトレンドの可視化
  3. 分析のためのデータ抽出

以下で個別に特徴を述べる。

ポートフォリオと詳細情報

ポートフォリオとはIT投資プログラムの一覧である。連邦政府全体、省庁ごと、のそれぞれについて一覧を参照できる。各一覧には、各省庁のCIOによる評価、コスト目標の遵守状況、スケジュール目標の遵守状況、という3つの側面からプログラムを評価したスコアが付記されている。スコアは赤・黄・青(緑)の3つの信号色で表現されており、危険な状態(赤・黄)にあるプログラムの存在比率やその増減を一瞥して把握することができるようになっている。

ITダッシュボードにおける連邦政府全体のIT投資サマリー

ITダッシュボードにおける連邦政府全体のIT投資サマリー

信号色を用いたスコアグラフの下にはIT投資プログラムの一覧が配置されている。

ITダッシュボードにおける組織別のIT投資一覧

ITダッシュボードにおける組織別のIT投資一覧

一覧は、組織別(Agency)・業務区分別(Service)・勘定科目コード別(Budget Account)・投資プログラム別(Investments)に分かれている。それぞれに、総投資額、プログラム件数などを含んでおり、見出し列をクリックすることで当該組織や当該区分に属する投資について同様のサマリーを閲覧できる。もしくは、プログラム別の一覧における見出し列をクリックすると、そのプログラムの詳細情報ページへと画面が切り替わる。

ITダッシュボードにおけるCIOからのIT投資評価

ITダッシュボードにおけるCIOからのIT投資評価

詳細情報ページにはプログラムの概要、直近の会計年度における支出額、主幹省庁のCIO、CIOによるプログラム評価スコアの推移、プログラムに含まれるプロジェクトの一覧、業務パフォーマンスの評価などが含まれる。更に、情報源となった書式53および書式300、調達契約の一覧、ベースラインの変更履歴、プログラム評価の履歴へのリンクも含まれる。ベースラインの変更履歴とプログラム評価の履歴には変更事由が添え書きされている他、調達契約の情報は更にUSASpending.govの関連ページに繋がっており、当該契約に基づく受託業者への支払い状況を確認できる。ITダッシュボードやUSASpending.govの枠内には収まらないが、契約番号を元に別途運用されている調達情報の開示WebシステムであるFPDS NGを引くことで期間や契約方式等の詳細情報を参照することができる。

補足として、信号色によるスコア評価の基準を以下に紹介しておきたい。スコア評価はCIOによる評価と、コストまたはスケジュールの予定からのずれに分けられる。前者は次の基準*1に従う。

評価軸評価基準(例)
リスクマネジメント・リスクマネジメント戦略は存在しているか?
・上級管理職によりリスク事項が理解されているか?
・リスクの記録が完備され最新化されているか?
・リスクが明瞭に優先順位付けされているか?
・リスク緩和計画が実践されているか?
要求マネジメント・投資の目的は明確でスコープは管理されているか?
・要求は明瞭で完全に表現され、検証されているか?
・要求定義の際に適切な利害関係者を関与させているか?
受注業者の監査・統合プログラムチーム*2により調達戦略の策定と管理がなされているか?
・受注業者の業務遂行におけるEVMの報告、リスクの記録、プログラムの現状など重要なレポートを省庁は受け取っているか?
・調達事案のパフォーマンスに対する負の影響を緩和、管理、モニタリングするための政府自身の手による適切な監査のためのマネジメントを実践できているか?
パフォーマンス推移・計画されたコストおよびスケジュールからの大幅な乖離は存在していないか?
・得られた教訓とベストプラクティスを反映できているか?
人的資本・IT投資や調達契約のマネジメントを執行するチームには質の保証された人員が配置されているか?
・離職率は低く保たれているか?
その他・将来の成功を占うにあたり重要であるとCIOが考える他の要因

評価基準の項に含まれる具体的な項目はCIOごとに事前に定めた基準が採用される。評価結果は全体を総合した上で1~5点の点数として表現され、1~2点が赤、3点が黄、4~5点が青(緑)で表現される。コストおよびスケジュールの計画からのずれに関しては、30%以上のずれが赤、10%以上30%未満が黄、10%以下が青(緑)に分類される。


*1
IT Dashboard FAQ
http://www.itdashboard.gov/faq
*2
IPT : Integrated Program Team
契約担当官や調達物の導入先部門の業務責任者、技術の専門家など、調達プログラムの推進に関わりのある重要な利害関係者を集めた総合的な調達チームを言う。