2013年03月24日

オバマ政権下のITマネジメント改革

3.4. ITダッシュボードとTechStatセッション:TechStatセッションの概要

TechStatは高リスクプログラムを対象に実施される対話型の集中質疑であり、行政管理予算局の関係者とIT投資プログラムの実施省庁の関係者とが、1時間と区切った中で直接に議論を行うセッションである。セッションの結果として選択される対策の中にはプログラムの一時中止や廃止も含まれる。

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TechStatセッションの流れ

ITダッシュボードで開示される情報の分析を経てリスクの高いIT投資プログラムが特定されたならば、次に論ずべきは実施すべきリスク対策である。TechStatは高リスクプログラムを対象に実施される対話型の集中質疑であり、行政管理予算局の関係者とIT投資プログラムの実施省庁の関係者とが、1時間と区切った中で直接に議論を行うセッションである。セッションの結果として選択される対策の中にはプログラムの一時中止や廃止も含まれる。実際に実施されたTechStatセッションの議事録等は公開されていないが、TechStatセッションを各省庁が内部で行う際のガイダンスとしてTechStatツールキット*1が提供されている。この内容を参照することで、実施の詳細を窺い知ることができる。以下ではツールキットの記載に基づき、TechStatセッションの概要と進め方を述べる。

TechStatセッションは次の特徴を有する。

  • 行動的であって事務的ではない
    • 参加者はセッションの結果として次に実行すべきステップを明確にする。事務的にただ議事を進行するような取組とはしない。
  • 焦点を絞るのであって包括的ではない。
    • 解決すべき問題と特に重要性の高い的を絞って議論を行う。導入後レビュー*2のように書面を起こし包括的に問題を分析する取組とはしない。
  • 対処の明確化であって問題の全面解決ではない。
    • 1時間のセッションで期限と担当者を明確にした次のステップを定める。あらゆる問題に回答を与える取組とはしない。
  • ツールであってレビューではない。
    • 上級マネジメントによる介入が必要になった時点で用いられる。定期的な監査目的等で実施する取組とはしない。

全体の流れは次の通りに図示される。

TechStatセッションの流れ

TechStatセッションの流れ

この流れに沿ってTechStatチームとIT投資の責任者側とが相互に作業を進める。

特定のステップでは、ITダッシュボードの情報や政府説明責任院(GAO)によるレポート、各省庁の監査報告など種々の情報を元に、TechStatチームがTechStatセッションの対象となるIT投資プログラムを洗い出す。洗い出しのためのミーティングは定期的に実施する。IT投資プログラムが特定されたなら、当該プログラムの責任者に対し、特定の根拠となった資料類に1ページのサマリー資料を合わせてTechStatセッションの開催を通知する。開催日は通知から原則として1ヶ月以内とし、また、通知から原則として1週間以内に関連資料を提示するよう要請もする。特定後のサマリー資料作成と通知に掛かる見込み作業日数は1日である。

分析のステップでは、通知を受けた責任者の側で提示された関連資料を精査し、最新の情報を揃えた上でTechStatチームに返送する(5営業日)。TechStatチームは返送された資料を精査し助言を請うべき特定分野の専門家を招く。専門家による検討の上で得られた助言をレビュー結果にまとめる(4営業日)。続いてここまでに得られた情報を責任者側と共有し、議論の土台となる事実認識を揃える。当該プログラムの課題を分類・整理した上で根本原因の分析を行い、上級マネジメント層によるあるべき関与を導ける状態につなぐ。とるべき是正措置の計画を踏まえた上で次に取るべきステップを絞り込む。これらの結果を整理し、なぜこのIT投資プログラムがTechStatセッションの対象となったのかという事由と合わせて資料をまとめる(5~10営業日)。

準備のステップでは、セッションに招集すべき関係者を決定し通知する(2日)。招集すべき関係者のうちには、投資マネージャ、プログラムマネージャ、受け入れ側業務部門の責任者、関連部門の幹部、専門家が含まれる。原則として調達契約の受注業者は、そのパフォーマンスに関する議論を制約しないようにという意図の下に、この中には含まれない。また、契約担当官の招集にあたっては、TechStatチームはCIOから事前承認を得ておくべきとされる。一方、TechStatチームはセッションの開催事由を説明するスライドを作成する(1~3営業日)。セッションの実施場所となる部屋や使用する機材を確保し、配布資料の印刷等を手配する(1~3営業日)。最後に、当該プログラムを管轄するCIOに対し事前ブリーフィングを行い、TechStatセッションの進め方に関する助言を得て若干の調整を行う(1営業日)。

TechStatセッションのステップにおいて実際のセッションを行う。セッション自体は1時間に区切る。洗い出された事実の説明と確認を経て、講じうる潜在的な是正措置について論じ、講ずる是正措置を期限と担当者を定めた上で決定する。

フォローアップのステップでは、TechStatセッションの結果をまとめたメモを作成し関係者に回覧する(2営業日)。以後、TechStatチームは決定された是正措置の進捗状況を追跡し、最終的な完了をITダッシュボードに報告する。この時点で当該IT投資プログラムに関する取組はひとまずの完了となるが、その過程で得られた教訓を整理し、後続のIT投資マネジメントにも役立てられるよう共有を進めることもまた、TechStatチームの役割である。


*1
TechStat Toolkit
https://cio.gov/drivingvalue/techstat/
*2
PIR : Post Implementation Review