2013年03月24日

オバマ政権下のITマネジメント改革

4.3. ITマネジメント改革のための25の施策:PART II:大規模ITプログラムのマネジメント効率化

PART IIの施策のねらいを要約すれば、民間に比べて遅れをとっているITプログラムマネジメントの体制および能力を強化することと、その結果として迅速で機動性の高いIT投資を実現すること、である。その焦点はモジュラー型開発の定着に当てられている。

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25の施策に含まれる残る5つの領域はいずれも大規模ITプログラムのマネジメント効率化と題するPART IIの中に含まれる。PART IIの施策のねらいを要約すれば、民間に比べて遅れをとっているITプログラムマネジメントの体制および能力を強化することと、その結果として迅速で機動性の高いIT投資を実現すること、である。問題意識はこの裏返しであり、ITの急速な浸透によって民間組織が達成した生産性やサービス品質の向上を連邦政府の省庁では獲得できておらず、とりわけ、長い時間をかけて大規模なプログラムを推進することが前提となっている既存のIT投資マネジメント体制が回転の早い昨今のIT投資と齟齬を期待しているという認識が示されている。

IT投資の迅速化において鍵となるのはモジュラー開発である。すなわち、多数の目標をプログラムの集結時点で一括して達成しようというのではなく、小さく分割された目標とそれを実現するための小規模プロジェクトを段階的に順次積み上げていくことで、プログラムの期中において具体的な成果を実現していくというアプローチである。大規模なプログラムでは最初の成果物が納品されるまでに数年もの時間を要するような計画が是とされることもあるが、日進月歩が当たり前のITの世界では数年も経つと全く世界の様相が変化することさえありうる。PART IIに含まれる施策は、業務上の利用に資する最初の成果物をプログラム開始から18ヶ月以内に提供し、その後のリリースサイクルも最長12ヶ月以内、望ましくは6ヶ月以内としなければならないと述べている。従来のIT調達とは異なるこうしたテンポを維持するには、高度な能力を有したプログラムマネージャの確保と参画が欠かせない。

以上の認識の下に、モジュラー開発の実現という目標を支えるための取組として下記が掲げられている。

  • プログラム全体の目的および業務上の目的に対して個々のモジュールが位置付けられ、プログラムの成否を計測するための定性的・定量的指標を明確に定められるよう取り計らう。
  • 業務上の明確な目標、明確なパフォーマンス指標、将来のアーキテクチャに関する明確なビジョン、反復設計と開発に関する明確な要素認識という全てを兼ね備えた調達事案についてのみ予算を認める。
  • システムの詳細要件を決定するのに3ヶ月以上をかけないようにしつつ、少なくとも12ヶ月毎に新機能をリリースする。
  • 個々のリリースについて利用者満足度を評価する反復プロセスを設け、その中で利用者からのフィードバックを常に収集し、業務上のニーズに沿ったシステムとなるよう継続的に設計の質を高める。
  • 要件定義の膠着状態を避けるために、抽象的な要件を決めたら目先のリリースに集中し、必須要件とはいえない追加機能の取り入れを将来のリリースへと先送りする。
  • 個々のリリースが完了する毎にそのリリースのために引き当てていたリソースを次のリリースのための作業へと速やかに充当する(例:あるリリースについて要件定義が終わったら開発チームがそのリリースに関する開発を進める傍らで、手の空いた要件定義チームの仕事として次のリリースに関する要件定義を割り振る)。

次節以降に述べる個々の施策を位置づける文脈として上記を念頭に置かれたい。