2013年03月24日

オバマ政権下のITマネジメント改革

4.6. ITマネジメント改革のための25の施策:技術サイクルと予算プロセスの親和性向上

IT調達において求められる迅速性は調達プロセスの改善だけでは達成しえない。25の施策では連動する予算プロセスの改革にも着手している。しかし、議会の強力を要するこの領域の進捗ははかばかしいとは言えない。

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PART II:大規模ITプログラムのマネジメント効率化
C2. 技術サイクルと予算プロセスの親和性向上
17. モジュラー開発に適したIT予算のモデルを議会と共同で策定する。6: 遅延
18. 柔軟なIT予算モデルのためのガイダンスと参考資料を整備する。12: 推進中
19. 柔軟なIT予算モデルの適用範囲を議会と共同で拡げる。18: 推進中
20. 各省庁のCIO管轄下のコモディティ型のIT支出を議会と共同で整理統合する。6: 遅延

施策17.モジュラー開発に適したIT予算のモデルを議会と共同で策定する。

予算に対する省庁の裁量を増やす方法を現行法制の調査の上で編み出し、試験運用のための幾つかのパイロットプログラムを特定する施策である。背景となっているのは、モジュラー開発のための予算管理を行うには、議会に対する予算案承認を申請する段階にも影響があるという現行法制の事情である。

行政予算は原則として出費が実際に発生する会計年度に先行して予算案として議会に申請されなければならないが、モジュラー開発は投資を段階的に進めてその中で組み換えや部分的中止などの調整を行うことでリスクを最小化する手法であり、予め予算案を固めるという方法とは隔たりがある。このギャップを解消あるいは緩和するためには、議会と共同で法運用を変更する必要がある。同時に、議会の立場では行政の支出を国民の立場からチェックする必要があるため、綿密な調整が必要であることも明らかである。

以上の背景に鑑み、現行法制で各省庁に裁量が認められている各種の予算システムがどこまで流用できるのかを分析し、幾つかの典型的な新しい予算運用の型を見出すことと、その試験運用例となるパイロットプログラムを特定することを25の施策では目標としている。まずは現行法制の範囲内で可能性を模索する取組であり、立法の手段に訴えるのは主としていない。

この施策は2011年末時点で遅延とされており、本稿執筆時点でも完了は報告されていない。政府説明責任院の報告*1によれば、遅延後の新しい期限は設定されておらず、2013会計年度中に次の動きをとる見込みとなっている。

施策18.柔軟なIT予算モデルのためのガイダンスと参考資料を整備する。

柔軟性を確保したIT予算モデルのベストプラクティスを抽出し関連資料を整備する施策である。この種の予算モデルの必要性から始まって、より柔軟な予算モデルに至るまでの道筋を示す資料になるとしている。

施策の内容は2段階に分けられている。

前半は一般的なITプログラムの型を分類し、それぞれに関連する予算要求上の特性を分析することである。この分析はCIO協議会が行う。分析結果は状況別の判断シナリオとして再編成され、ITプログラムの型ごとにどの予算モデルを活用すればよいかが示される。

後半はIT予算の拠出に関する透明性向上のためのガイドライン整備である。予算に対する省庁の裁量を増やしつつ健全な財務運営とするためには透明性の向上が欠かせない。この点について連邦CFOとCIO協議会が連携してガイドラインを整備するとしている。

この施策については2011年末の報告では完了とされているが、その後、本稿執筆時点のCIO協議会のWebサイトでは推進中の扱いとなっている。内容からは施策17の完了を待たねばならないと考えられることと、成果物も開示されている様子もないため、施策17と共に現在も取組を継続中であると見られる。

施策19.柔軟なIT予算モデルの適用範囲を議会と共同で拡げる。

前項に言うIT予算モデルを試験運用するためのパイロットプログラムに実際に着手し、進捗を踏まえつつ連邦政府全域へと適用範囲を拡げる施策である。前半はパイロットプログラムを推進する限られた省庁との連携が主となり、その進捗と平行として行政管理予算局が議会と共に政府内の他の領域への適用拡大について検討するとしている。この施策も2011年末時点では推進中となっており、本稿執筆時点でもその状況に変化がないため、実情としては遅延しているものと見られる。

施策20.各省庁のCIO管轄下のコモディティ型のIT支出を議会と共同で整理統合する。

電子メールやWebサーバのレンタルなど、一般性が高く複数の省庁間で需要を一本化して共同発注できる種類のコモディティ型ITサービスに適した予算モデルを編み出す施策である。取組は行政管理予算局と議会が共同して推進するものとしている。更に、この予算モデルの適用対象となるコモディティ形ITサービスを毎年のペースで新たに特定し続けることを標榜している。この施策は2011年末で遅延しており、本稿執筆時点でも状況に変化は見られない。


*1
GAO-12-461, “Progress Made; More Needs to Be Done to Complete Actions and Measure Results”, (GAO, 2012/04/26)
http://www.gao.gov/products/GAO-12-461