2013年03月24日

オバマ政権下のITマネジメント改革

4.7. ITマネジメント改革のための25の施策:ガバナンスの軽量化とアカウンタビリティの向上

連邦政府では従来よりIT投資のガバナンス機構を整備してきたが、25の施策では引き続きその細部を磨き上げると共に、TechStatの活用を深めていく。

*   *   *

PART II:大規模ITプログラムのマネジメント効率化
D. ガバナンスの軽量化とアカウンタビリティの向上期限と進捗
21. 投資レビュー委員会(IRB)を改革し強化する。6: 完了
22. 各省庁のCIOと連邦CIO協議会の役割を改正する。6: 完了
23. TechStatを部局レベルで展開する。18: 未着手

施策21.投資レビュー委員会を改革し強化する。

各省庁の内部にあってIT投資の承認と監督を司る投資レビュー委員会の活動強化を狙う施策である。連邦政府の省庁におけるIT投資は省庁内の投資レビュー委員会による審査を経て実際の予算申請許可やトラブル発生時の継続判断を受ける。行政管理予算局によれば、投資レビュー委員会の活動は多くの場合に形骸化しており、実効性のある仕組みとして機能させるには改革が必要な状態である。この問題に鑑み、IT投資事案に関する説明資料であるところの書式53と書式300の取り扱い規則を改定すると共に、TechStatセッションを各省庁の内部でも各自で実践することによって、IT投資が着実に監督されるよう仕向けるのが本施策の骨子である。

書式53と書式300の取り扱い規則の改訂は通達A-11*1の改訂を通じてなされた。変更点は多岐に及ぶが、大きな変化としては、まず書式53と書式300のそれぞれに対応するセクション53とセクション300の規定が廃止され、両セクションに記載の内容がIT投資に限定されない一般の規定として他のセクションに分散・併合された。この結果、資本プログラミングガイド(CPG)に基づく資本性資産の調達に関する考え方が一般に適用されることとなった。その一方、書式53と書式300は維持されており、取り扱い規則は通達A-11の本体には含まれない付属文書*2*3にて言及される形に変更されている。この附属文書がこれまでのセクション53とセクション300の改訂版に相当する。改訂の内容は主に考え方の説明の明確化であり、一部には実効性の確保という意図が垣間見える。以下では書式53の取り扱い規則について、改訂の前後で特徴的な違いのある箇所を抜粋して翻訳する。注目すべき差異については下線を付した。

53.3 IT投資によるプログラムパフォーマンスの改善を確かなものとするにはどうすればよいか?<中略>(訳注:書式300に表されるビジネスケースや資本性資産の管理計画書に対する)あらゆる附属文書は維持されるべきであり、かつ、行政管理予算局(OMB)の求めのある場合にはいつでも参照可能な状態になっているべきである。
53.3 IT投資を省庁の戦略計画に対するつながりを持ちかつ確かにこれを支えるものとするにはどうすればよいか?<中略>IT投資の企画、開発、導入、運用に用いられる文書、および、省庁や部局などの意思決定がもたらす効果を示す文書は維持されるべきであり、かつ、行政管理予算局(OMB)の求めのある場合にはいつでも参照可能な状態になっているべきである。
主要なIT投資とは、システムあるいは調達事案であって、マネジメント上の注意を特に要するものを言う。<中略>どのような投資が「主要な」ものなのかについて判断に迷う場合には、行政管理予算局(OMB)の予算担当者もしくは代表に相談を求めよ。
主要なIT投資とは、プログラムであって、マネジメント上の注意を特に要するものを言う。<中略>どのような投資を「主要な」ものとするかについては、行政管理予算局(OMB)の予算担当者またはアナリストに相談を求めるべきである。(訳注:判断に迷う場合、という条件付けがなくなり相談が原則化している。)
書式53Aは次の6つのパートからなる。
1.ミッション領域の支援のためのIT投資
2.インフラ、OA化、電話・通信のためのIT投資
3.エンタープライズ・アーキテクチャと企画のためのIT投資
4.補助金マネジメント・システムのためのIT投資
5.国家安全保障システムのIT投資
6.州政府および地方政府のIT投資に対する補助金
書式53Aは次の6つのパートからなる。
1.ミッションの実務およびマネジメントの支援のためのIT投資
2.インフラ、OA化、電話・通信のためのIT投資
3.エンタープライズ・アーキテクチャと資本計画、CIO業務のためのIT投資
4.補助金マネジメント・システムのためのIT投資
5.国家安全保障システムのIT投資
6.州政府および地方政府のIT投資に対する補助金

省庁の裁量に任せることでIT投資マネジメントの質が低下しうる局面については行政管理予算局の介入を増やす変更、FEAと投資プログラミングガイドの考え方については更なる具体的な説明、プログラムマネジメントの観点からの議論の整理といった要素が今回の改訂からは読み取れる。また、これまでは「すべき」とされていた行政管理予算局に対するドラフト版書面の提出が「しなければならない」扱いになるなど統制の強化が図られていたり、これとバランスをとるかのようにITセキュリティ投資に関する記載項目を集約して簡素化するなど記載上の負担軽減も取り入れられている。予算案申請に対するこの変更の適用は2013会計年度からとなっている。

省庁レベルでの内部TechStatセッションの実施状況については既に第1章にて述べた通りである。ここでも再掲すれば、2011年12月8日時点で294のセッションが実施済みであり、9億ドルのコスト削減と6つのIT投資の停止に至っている。この補助施策について付記すべきことは、これらの内部TechStatセッションを統括する責務がCIOに割り当てられたことである。これが次項の施策22に繋がる。


*1
“Circular A-11”, (OMB, 2011/08)
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/assets/a11_current_year/a_11_2011.pdf
*2
“GUIDANCE ON EXHIBIT 53—INFORMATION TECHNOLOGY AND E-GOVERNMENT”, (OMB, 2011/08/05)
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/assets/egov_docs/fy13_guidance_for_exhibit_53-a-b_20110805.pdf
*3
“GUIDANCE ON EXHIBIT 300—PLANNING, BUDGETING, ACQUISITION, AND MANAGEMENT OF INFORMATION TECHNOLOGY CAPITAL ASSETS”, (OMB, 2011/07/15)
https://www.whitehouse.gov/sites/default/files/omb/assets/egov_docs/fy13_guidance_for_exhibit_300_a-b_20110715.pdf