この記事について

米国連邦政府は過去10年以上にも及び行政業務の電子化を推進してきた。しかし、それはただITを行政に役立てようというものではない。その実態は、IT投資のマネジメント手法を叩き台とした徹底的な業務合理化であり、骨太の行政改革の試みである。本稿ではこれまでの資料調査を元に、米国政府のマネジメント改革を概観する。

※本稿は2009年12月時点での調査に基づきます。

PDF版の原稿はRevGovt.pdfCapital Programming Guide 2.0の邦訳はこちら

記事一覧

2010年03月23日
21世紀の米国流行政革命
1. 歴史的経緯と中核的思想
米国政府における行政革命の底流にあったのは、米ソ冷戦期を通じて形成された莫大な財政赤字であった。この重荷を解消しようとするに当たってアメリカ連邦政府の選んだ行政改革のアプローチが、民間において確立している先進的マネジメント手法の導入である。

2010年03月21日
21世紀の米国流行政革命
2. EA×PBM
連邦政府は巨大な組織であり、IT投資の対象も膨大な数と範囲に及ぶ。この中で、重複投資による無駄や、予算拠出後の放任主義に由来する無駄が多発していた。これを解決するための方法が、EAを用いたIT投資の全体像の棚卸しと、KPIベースのPDCAサイクルによるパフォーマンス基準のマネジメントである。

2010年03月21日
21世紀の米国流行政革命
3. FEAプログラム
連邦政府は幾つもの省庁からなる連合体であるが、国民から見れば結局のところは1つの政府である。縦割り行政が招く業務と情報システムの重複による無駄を洗い出し、一丸となった1つの政府として国民に向き合うためには、省庁横断での業務分析のツールが必要になる。これが連邦政府全体を対象にした連邦エンタープライズアーキテクチャ(FEA)である。

2010年03月21日
21世紀の米国流行政革命
4. CPIC(資本計画と投資管理)
Clinger-Cohen Actからの流れで導入されたIT投資マネジメントの手法は一定の成功を収めた。その考え方を連邦政府内での予算管理一般に適用する仕組みがCPIC(Capital Programming and Investment Control/資本計画と投資管理)である。

2010年03月21日
21世紀の米国流行政革命
5. PBA(パフォーマンス基準調達)
EAやCPICによる投資管理は計画編成段階でのマネジメント手法に相当する。これに対して、より現場に近い調達活動の領域で、計画立案から契約締結、発注、契約管理という一連の流れをカバーするマネジメント手法がPBA(Performance-Based Acquisition/パフォーマンス基準調達)である。

2010年03月21日
21世紀の米国流行政革命
6. マネジメント業務の専門化と人材育成
連邦政府が導入を進めるマネジメント手法は、多くの面で経営学の専門的知見を背景としている。裏を返せば、FEA・CPIC・PBAという三つ巴の体制が確実に機能するためには、適切な人的資本の整備と手法の継続的洗練が欠かせない。

2010年03月21日
21世紀の米国流行政革命
7. 情報公開とアカウンタビリティ
連邦政府の行政マネジメント改革には、何を求めて業務を進めるのか、ということの明確化と、目的が明らかであれば裁量を認めてよい、とする判断が共通して見られる。これが適切に機能していることを確かめる上で重要なのが、情報公開とアカウンタビリティの徹底である。

2010年03月21日
21世紀の米国流行政革命
8. まとめ
米国連邦政府のマネジメント改革は先進的で勇猛果敢な取り組みと言えるが、必ずしもその全てが成功しているとは言えない。しかしながら、硬直化が当たり前のように言われる巨大組織の中に根付きつつあるその動きは、今後とも注目に値する。