2010年03月21日

21世紀の米国流行政革命

8. まとめ

米国連邦政府のマネジメント改革は先進的で勇猛果敢な取り組みと言えるが、必ずしもその全てが成功しているとは言えない。しかしながら、硬直化が当たり前のように言われる巨大組織の中に根付きつつあるその動きは、今後とも注目に値する。

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駆け足にではあるが、米国政府における現代的な行政改革の取り組みを概観した。1つ1つは異なる背景を持つ施策が、全体としてNPRの示した枠組みを満たすように、それぞれの役割を果たしていることが窺われよう。しかしながら、これらの施策が現状で十分な成果を上げていると断言できるかと言えば、必ずしもそうではない。

例えばFEAには電子サービスの統合だけでなく、扱われているデータの統合も当初の目論見として含まれていたが、主に技術的な困難に起因して、こちらについては数年単位でスケジュールが遅延している。また、PBMとの一体化に繋がるパフォーマンス指標カタログの整備も進んでおらず、システム統合によるコスト削減以上の成果の達成状況は不透明である。PBAについても、米国議会により招集された調査委員会の報告によれば、PBA方式で調達を行った、とされる事例の半数が、実際には形を真似ただけでPBAの実利を実現できていないと見られることや、労働力構成において専門的スキルの不足が大きな懸念となっていることが指摘されている。2005年にはハリケーン・カトリーナがメキシコ湾岸に来襲し大きな被害を残したが、この時の行政対応の不備には、調達業務を行うスタッフのスキル不足も一因になっていたとの見方もある。#1

課題はあれども、米国流行政改革には学ぶべきところが非常に多い。NPRから数えても、今や15年、クリントン、ブッシュ、オバマと3政権に渡っての取り組みとなっている。長い歴史とそれ故のしがらみを持つ巨大組織では、一見すると当たり前の改善でも著しい困難となるのが通例である中で、着実に地歩を踏み固めてきた事実は特筆に値する。21世紀を通じて米国政府がどのような行政を作り上げるのか、今後とも注目したい。


(参考文献)

#1
"Report of the Acquisition Advisory Panel", (AAP, 2007/01) link