2010年03月21日

PBAガイド

1.1. 概念:概説

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パフォーマンス基準調達はKPIベースで設定された業務目標の達成を契約要件とする調達方式である。PDCAサイクルとの一体性を重視した手法であり、その推進に当たっては調達手続きだけでなくPDCAを意識したマネジメントの要素に向き合う必要がある。

*   *   *

パフォーマンス基準調達の定義

パフォーマンス基準調達*1は、契約の締結行為自体や指定業務の完了といった形式的な基準ではなく、調達のそもそもの目的となっている何らかの業務目標と結びついた、達成すべきパフォーマンス指標によって調達内容を規定するサービス調達である。サービス契約を対象とする方式であるため*2、パフォーマンス基準サービス調達*3と呼ばれることも多い。米国政府の調達規則である連邦調達規則*42.101条では次のように用語定義されている。

「パフォーマンス基準調達」とは履行される業務の方法ではなく達成さるべき結果を軸に構成される調達を意味する。

パフォーマンス基準調達は厳密に形式を定められたものではなく、次に示す緩やかな条件を満たすことで該当するものと見なされる。連邦調達規則での定義は次の通りである。

(37.601条―パフォーマンス基準調達・概論)

  • (a) 募集要項(Solicitation)ではパフォーマンス基準業務記述書(PWS : Performance Work Statement)または業務趣意書(SOO : Statement Of Objectives)のいずれかを用いてよい。
  • (b) サービスのためのパフォーマンス基準契約は下記を含まなければならない。
    • (1) パフォーマンス基準業務記述書*5
    • (2) 測定可能なパフォーマンス標準(例:品質、適時性、数量など)と、パフォーマンス標準に対する契約業者のパフォーマンスを評価する手法。
    • (3) パフォーマンスインセンティブ(適切である場合に限る)。適用時には、パフォーマンスインセンティブは契約に明記されたパフォーマンス標準に対応するものでなければならない。
  • (c) パフォーマンス基準調達に汎用品・サービスの<簡易な>調達手順を用いる特例要件は別項参照。(省略)

パフォーマンス基準調達の構成要素

パフォーマンス基準業務記述書は、当該の調達において達成されるべき具体的な目標をまとめた文書である。目標の例には、「少なくとも95%の道路および歩道からごみがなくなること」や、「貸付保証業務の改善による顧客サービスの向上」といった要求が該当する。

募集要項の段階で、パフォーマンス基準業務記述書にかえて業務趣意書が用いられることがある。前者が調達対象のサービスが満たすべき具体的な個別目標を明記するものであるのに対し、後者は、パフォーマンス基準業務記述書を特定するために、より大枠の業務目標のみを示して個別目標を入札業者からの提案に委ねるものである。どちらの場合でも、業務方法の細かな内容は入札業者の案出に委ねられ、入札業者には業務目標の実現のために最善の努力と創造性を発揮することが期待される。

パフォーマンス標準は、サービスの品質を見極めるための判断基準である。パフォーマンス標準は契約業者が満たすべき具体的目標であり、業務目標を達成するために必要な、細分化された品質目標の集まりとして定義される。パフォーマンス標準は、契約業者の業務パフォーマンスを客観的に測定可能にするものでなければならない。

パフォーマンスインセンティブは、パフォーマンス標準から見て標準以上のパフォーマンスを達成した場合に与えられる報奨の制度である。パフォーマンス標準が定めるのは名前の通りに標準であって、これを上回る成果を出すことが契約業者には推奨される。この差分が定量的に特定できるものである時に、その分量に従って例えば従量制のボーナスを与えることなどがパフォーマンスインセンティブに当たる。定量化が難しい場合でも、定性的判断に基づく報奨金などをこれに該当するものとして契約に織り込むことができる。必ず設けられるというものではない。

このようにパフォーマンス基準調達では、業務の達成目標、契約業者による自由度の高い提案、客観的で具体的な品質基準、好成績に結び付いたボーナスなどを結び付け、契約業者のサービス役務提供が、行政側の業務目標の達成に向けて積極的に動機付けられるよう構成されている。


*1
PBA, Performance-Based Acquisition
*2
連邦調達規則37節サービス契約に規定するPBAは、サービス調達に適用されるものであるが、パフォーマンスを視野に入れる考え方は、大規模システム調達(連邦調達規則34節)、パフォーマンス基準支払(同32.10小節)、調達計画(7節)など随所にみられる。
*3
PBSA, Performance-Based Service Acquisition
*4
FAR, Federal Acquisition Regulation
*5
筆者注:募集要項で業務趣意書(SOO)を用いた場合には、契約業者と合意した後のパフォーマンス業務記述書。