2010年03月21日

PBAガイド

1.3. 概念:業務趣意書(SOO)

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パフォーマンス基準業務記述書(PWS)の策定に当たっては入念な業務分析が必要であり、しばしば省庁にとって作業実施が負担となる。業務趣意書(SOO)は調達の目的を抽象的な水準に留めて記述した文書であり、パフォーマンス基準業務記述書(PWS)の策定を事業者側に委ねるアプローチと一体に利用される。

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業務趣意書(SOO)

業務趣意書は、省庁の任務に対する当該調達の位置付けを示すことで、パフォーマンス基準業務記述書に関する入札業者からの自由な提案を幅広く募る文書である。業務趣意書は2006年2月の連邦調達規則の改訂によって新たに盛り込まれた手法であり、当然のことながら歴史上はパフォーマンス基準業務記述書の方が古い。業務趣意書について、連邦調達規則では次のように定めている。

(2.101条 用語定義)

「業務趣意書」とは募集要項の一部として政府により提供される文書で、サービス執行の全体目的について述べたものである。入札業者が革新的アプローチを提案できるよう、自由度を最大限に高める目的で公募の際に利用される。

(37.602条)

  • (c) <前段省略>業務趣意書は最低限でも次の要素を含まなければならない―
    • 意図
    • 範囲もしくは任務
    • サービス実施の期間と場所
    • 背景
    • パフォーマンス上の目的(例:求められる結果)
    • サービス遂行上の制約事項

上記の規定から推測されるように、業務趣意書は形式的な厳密性を備えたものではない。意図、任務、パフォーマンス上の目的、の関係は緩やかなものである。本件調査にあたって実際の募集要項を参照した限りでも、業務趣意書の実例においてこれらが明確に目次の上で切り分けられているとは限らない。

重要なのは、第一に、発注側組織の根本的な業務目標を任務として明らかにし、その任務につながるものとしての調達の位置付けを示すことである。第二に、調達の成功判定基準の提案を、サービスの実施パフォーマンスに関連付けて行うよう、入札業者に促すことである。翻せば、省庁が果たそうとしている根本目的が理解できるように説明するものでなければならない。表現形式についても募集要項ごとに異なっており、全省庁共通での形式があるというものではない。

業務趣意書(SOO)の具体化

業務趣意書は簡潔な文書であり、長くとも十数ページ程度に収まるものである。業務趣意書には入札業者が理解を深めるための背景情報などを含めてもよい。省庁がパフォーマンス基準業務記述書を提示する方式であっても、その前段階として組織内で業務趣意書の作成に相当する作業が行われているべきであろう。

業務趣意書にはパフォーマンス基準調達の必須要件であるパフォーマンス標準が含まれていない。業務趣意書を用いた公募では、入札業者がパフォーマンス標準を含む提案を提出しなければならない。即ち、パフォーマンス基準業務記述書の策定に必要な業務分析等の作業は入札業者側に委ねられている。

手続き面を言えば、業務趣意書を用いた入札では、最終的な落札者の提案したパフォーマンス基準業務記述書が募集要項の中に取り入れられる。この時に当該調達におけるパフォーマンス標準が確定する。業務趣意書そのものは言わば一時的な存在であり、落札者決定時に募集要項から取り除かれる。このようにして、パフォーマンス基準業務記述書を用いた公募の場合と同様の募集要項が落札時に確定する。

業務趣意書を用いることで、発注側はパフォーマンス基準業務記述書策定の手間を省き、入札業者からの提案の自由度を高めることができる。しかし、業務趣意書の抽象的な性格は、入札業者の的確な理解と提案を促す記述の難しさにつながっている。7ステップガイドの中でも、今後の実績の積み重ねとノウハウの蓄積が必要であるとされている。