2010年08月09日

PBAガイド

2.3. 歴史:2000年代
パフォーマンス基準調達の時代

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1990年代に体系化の進んだパフォーマンス基準契約も、実際にはそれほど積極的に導入されたとは言えなかった。しかし2000年代になってブッシュ政権へと交代すると、大統領主導の行革の一環として、パフォーマンス基準調達が強力に推進されるようになった。

*   *   *

パフォーマンス基準調達(PBA)と具体目標の設定

2000年代には、過去の経緯を引き継ぎながら、数値目標を定め積極的な適用を明示的に推奨するなど、パフォーマンス基準での調達改革がより一層踏み込んだ形で推進されるようになった。政府業績結果法に基づく一連の業績主義行政の流れを汲み、クリントン政権からブッシュ政権に切り替わった後にも改革が引き継がれたのである。そして調達技法の洗練を経て肉付けされてきたパフォーマンス基準契約(PBC)という語は、業務目標の達成に向けた契約後のモニタリング活動なども含めた全体的な取組であるとの意義を強調してパフォーマンス基準調達(PBA)と呼び改められるようになった。

2001年3月、行政管理予算局からの覚書によってパフォーマンス基準契約を推進することが全省庁に指示された。#1この時点で明確な数値目標が設定され、2002会計年度において全省庁における$25,000超のサービス契約額合計の少なくとも20%以上にパフォーマンス基準契約を適用することが求められた。

2001年5月、Public Law 106-398*1に基づいてパフォーマンス基準契約を原則として優先される調達方式であると明記するため、連邦調達通達97-25が発効され、同規則が暫定改訂された。#2これにより、それまでは複数ある調達方式の中の一つでしかなかったパフォーマンス基準の方式が、調達における代表的方式として強調されるようになった。なお、このような公式の制度的な整備以前の2000年4月に、連邦政府の20を超える省庁の調達官で構成する調達エグゼクティブ協議会は、2005会計年度に50%以上とするとの目標を掲げた。#3

大統領行政管理アジェンダ(PMA)

2001年8月、ブッシュ政権の行政改革方針をまとめた大統領行政管理アジェンダ(PMA)が公開された。#4同アジェンダは電子政府政策や政府非固有業務の市場化テストの徹底など5つの中核的方針からなり、その中の5番目に「予算とパフォーマンスの統合」が位置付けられている。このことの背景の一つには、政府業績結果法の策定を基盤とする90年代の取組にもかかわらず、パフォーマンスに関する情報を業務において利用する文化が政府組織内にしっかりとは定着しなかったことがある。#5同アジェンダでは支出とその結果としての業務目標の達成状況を結び付けることが改めて打ち出され、これに合わせて行政管理予算局からの予算審査のための通達が改訂された。これによって、予算案提出に当たってはプログラム単位で業務目標を明記することが義務付けられた。#6

パフォーマンス基準調達(PBA)の準義務化

2002年5月、連邦調達通達01-07が発効#7し、これにより連邦調達通達97-25で規則が改訂された部分の確定と、パフォーマンス基準契約を利用しないで調達を行なう場合に、調達計画中に含める形で、その理由を文書化することが追加的に義務付けられた。またその前月には連邦調達政策部により、本格的にパフォーマンス基準契約を推進するための連邦調達規則の更なる改訂について提言をまとめるよう、省庁間ワーキンググループの召集が指示された。#8

2003年7月、上記の省庁間ワーキンググループによる報告「パフォーマンス基準サービス調達:未来に向けた契約の実践」が発行された。#9本報告書では、①連邦調達規則の中での用語定義をより明確化し、またパフォーマンス基準調達がより柔軟に利用できるようにすること、②パフォーマンス基準調達に関する情報収集の精度を高めること、③ガイドラインの精度、鮮度、有用性を高めること、が提言されている。業務記述書の策定を骨子として定められていた連邦調達規則中でのパフォーマンス基準契約という語に代えて、パフォーマンス基準業務記述書や業務趣意書を利用したパフォーマンス基準調達という語を用いることがこの報告書においてはっきりと打ち出された。


*1
「2001年Floyd D. Spence国防予算承認法」2000年10月公布。
米国議会では、このような予算承認法に別目的の条項を挿入して、同時に議会を通過させることが通例。

(参考文献)

#1
M-01-15, "Performance Goals and Management Initiatives for the FY 2002 Budget", (OFPP, 2001/03/09) link
#2
FAR Case 2000-307, "Federal Acquisition Circular 97-25", Preference for Performance-Based Contracting (2002/05/02) link
#3
GAO -01-753T, "Contract Management Trends and Challenges in Acquiring Services", (GAO, 2001/05/02) link
#4
"The President's Management Agenda", (OMB, 2001/08/23) link
#5
2001年5月に会計検査院(現政府説明責任院)が報告したところによれば、大部分の省庁において、業務資源配分の際にパフォーマンス情報を利用する管理者は半数以下の43%に留まった。
GAO-01-592 "MANAGING FOR RESULTS", (GAO, 2001/05)
http://www.gao.gov/new.items/d01592.pdf
#6
これを反映した通達A-11は、2002年6月に出ている。
OMB, Circular No. A-11, Revised Transmittal Memorandum No. 75, "Preparing, Submitting, and Executing the (FY 2004) Budget" (2002/06/27)
https://georgewbush-whitehouse.archives.gov/omb/circulars/a11/2002/02letter.pdf
#7
"Federal Acquisition Circular 01-07", (2002/04/30) link
#8
!Performance-Based Service Acquisition: Contracting for the Future", (OFPP, 2003/07) link
#9
ibid.