2010年03月21日

PBAガイド

3.4. 実績と課題:事例3~運輸保安庁
IT管理型総合サービスの委託

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三つ目の事例は運輸保安庁(TSA)によるIT管理型総合サービスの外部委託である。これは運輸保安庁で利用するあらゆるITインフラを全面的に外部の事業者に委託管理するという大規模な調達事案であった。しかしながら、結果には多くの問題が残った。

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概要

運輸保安庁(Transportation Security Administration)は国土安全保障省の一部局である。911テロの影響を受け、国土安全保障省に先行してまずは運輸省の部局として2001年11月19日に設立され、その後、2003年3月1日に国土安全保障省の管轄下に移行した。運輸保安庁は高速道路、鉄道、バス、港湾、そして全米に450ある空港など様々な運輸機構の安全保障をその任務としている。2007年3月時点で43,000人の運輸保安官を有している。

運輸保安庁は新設された組織であったため、そのIT環境も新たに構築しなければならなかった。一つの組織の構築と並行して行われることになるこのIT環境の構築プロジェクトがIT管理型総合サービス(IT Managed Service)である。運輸保安庁の通常業務に必要となるあらゆる情報処理と通信基盤を、その維持および管理のために必要となるシステム開発も合わせて総合的に一括調達するプロジェクトである。#1

募集要項

調達の概要

本件の募集要項は業務趣意書を用いて構成されている。業務趣意書に記載されている調達の概要は次の通りである。なお、募集要項に記載してある契約方式は固定価格のタスクオーダーであり、インセンティブ付与を予定していた。

運輸保安庁は潜在的に10億ドルの規模*1と最大7年間に及ぶ、IT管理型総合サービスの提供を求める作業依頼の競争調達を実施している。当該の作業依頼は、庁の情報処理、ITセキュリティ、通信基盤、その他の関連するIT要求事項を支援する幅広いITアウトソーシングサービスの提供を求めるものである。本業務趣意書は運輸保安庁のIT管理型総合サービスプログラムの主要な目標とパフォーマンス上の包括的な目的を明らかにするものである。我が国の安全保障に関心を寄せる全ての人々が疑いなく承知のように、運輸保安庁は2001年9月11日の痛ましい悲劇に応えるものとして設立された。議会を通過し、ブッシュ大統領により署名された「航空および運輸の安全保障に関する法(Public-Law 107-71)」は、運輸保安庁の設立と国家の運輸システムの安全保障を改善することを義務付けている。

ブッシュ大統領は<訳注:次のような形で>運輸保安庁に明瞭な目標を課した:あらゆるアメリカ人には、安全で、利用可能で、利便性と信頼性を備えた運輸システムを期待する権利がある。運輸保安庁の最初の一年の努力は航空輸送システムの安全保障に注がれたが、我々のより大きな任務は我が国のあらゆる運輸システム(例:鉄道、高速道路、移送、海運、パイプラインなど)を保護し、人と経済の自由な移動を確保することにある。

新規に設立されたばかりか高度にダイナミックな組織がITに要求する事項を満たすのは、明らかに大変な仕事である。生まれたばかりの省庁として、運輸保安庁は多くの挑戦に直面している。本部、400以上もの空港、21の広域事務所、運輸保安庁指令センター、これから決定されるだろう拠点や顧客など、様々に場所に展開する67,000にも上りうる職員のために、速やかにITと通信の基盤サポートおよびサービスを提供するのはあくまでも最低限のことでしかない。運輸保安庁が連邦法と大統領令の定める責務を真っ当できるよう、運輸保安庁のIT管理部副部長は庁の任務を背景に、世界で第一線の契約業者が合理的で業務範囲全域に及ぶIT管理型総合サービスのソリューションを提供することを求めている。

本取組の基盤となるのは、調達の対象となっているのがITと通信に関するサービスだけではないということに対する理解である。通信設備やLANとの接続の下に、スタッフ、コンピュータ、ラップトップおよびデータ管理サービスを提供することのできる企業は多数存在している。<訳注:しかし、>一般に「シート」と呼ばれるこれらの手配<業務>が主眼をおいているのは、専らコンピュータ機器の稼動<訳注:状態の確保>に過ぎず、ITの適用がどのように組織のパフォーマンスを向上させるかということではない。

運輸保安庁のIT管理型総合サービスの取組においては、実施されるITサービスは業務の遂行を可能にするための手段であって、本作業依頼を通じて運輸保安庁が手に入れようとしているものの全てを示すものではない。シートやデータセンターのパフォーマンスにばかり目を向けるのではなく、高度に効果的で安全で信頼性の高いIT資源を提供することは勿論、運輸保安庁の業務パフォーマンスを改善するためにITを適用する手法を継続的に探り続け、これらを契約業者が自身の任務とすることを運輸保安庁は強く期待している。

運輸保安庁が契約業者に対して強く期待しているのはただシートを提供することではなく、その任務を満たす最も効果的で効率的なITのアプリケーションと利用とを、特定し、実装し、管理する専門技能を発揮することである。

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訳者コメント:金額を想定して募集していることに注意されたい。

(参考文献)

#1
"Instructions for Task Order Proposal Submission For TSA Information Technology Managed Services (TSA ITMS) Task Order Competition", (TSA, 2002) link