2010年03月21日

PBAガイド

3.5. 実績と課題:調査報告から見える利点と課題
政府内の第三者による評価と改善勧告案

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失敗事例からも分かるように、パフォーマンス基準調達を成功させるためには様々な配慮が必要である。1998年頃からのパフォーマンス基準調達関連の調査を振り返り利点を確かめると共に、その中で米国政府により認識されてきた今後の課題について述べる。

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前節までで触れた事例でも推察されるように、パフォーマンス基準調達を成功させるためには様々な配慮が必要である。紹介した事例では失敗例が目立つ結果となっているが、パフォーマンス基準調達の概念はそれ以前の調達制度に対する反省から発達してきたものであり、その発展過程にあっては問題点と共に利点も認識されてきた。以下では1998年頃からのパフォーマンス基準調達関連の調査を振り返り利点を確かめると共に、その中で米国政府により認識されてきた今後の課題について述べる。

パイロットプログラムの評価(1998年)

パフォーマンス基準調達に対する初期の総合評価の取組は、1994年の連邦調達簡素化法に基づくパイロットプログラムを対象に行われた。連邦調達簡素化法ではパフォーマンス基準契約の本格的な展開に先駆けてパイロットプログラムを実施することを求めており、この要求に従って15省庁の26の調達、合計5億8500万ドル分を対象としてパフォーマンス基準契約手法が適用された。比較のため、まずパフォーマンス基準ではない形で契約された期限切れの近い既存契約を特定した上で、期限切れを迎えた後に改めて当該契約にパフォーマンス基準手法を適用した。この結果は連邦調達政策部によって1998年5月に「パフォーマンス基準サービス契約パイロットプロジェクトに関する報告書」として取りまとめられた。#1この概要は次の通りである。

  • 価格への影響:平均して15%の価格低下が見られた。これは額面ベースでの低下であり、インフレーションによる実質価格の16%の低下を含んでいない。価格低下は専門的でないサービスの場合でも専門家や技術を必要とするサービスの調達の場合でも確認された。支払い方式の点から言っても、元々定額であった契約を定額のパフォーマンス基準契約に切り替えた場合でも低下が確認された。但し、最も顕著な価格低下が見られたのは実費償還型の契約を定額型のパフォーマンス基準契約に切り替えた場合であった。
  • パフォーマンスへの影響:顧客(組織の中の利用者)満足度は18%以上の向上、5段階評価で3.3~3.9の評価結果が見られた。これらの評価は政府機関側のプロジェクト技術担当者によるものであり、品質、数量、適時性、費用効果、全体のパフォーマンス、という5つの指標に基づいている。パフォーマンス基準契約の適用による評価の向上は全ての指標において認められた。また、実費償還型の契約を定額型のパフォーマンス基準契約に切り替えた場合にはより高い顧客満足度の上昇が認められた。
  • 競争への影響:公募に対する提案の平均数が5.3から7.3へと増加した。但し、公募の内の半数では提案数は同じかより少ないものであった。また、提案の数と契約価格、顧客満足度、業務種別、契約種別の間には相関は見られなかった。26の調達の内の15の契約では、前回の選定業者とは異なる業者が指名される結果となった。このことは、パフォーマンス基準契約手法が既存業者以外の競争意欲を刺激するものであることを示している。前回とは異なる業者を指名した場合には顧客満足度の上昇が認められる他、既存業者もそれまでより大幅に低い価格での提案を行うことが確認された。
  • 監査業務の負担への影響:契約監査の実施回数が93%減少した。このことは多くの事例が実費償還型契約から定額型契約へと切り替えたことに合わせて予見されたことである。同時に、作業内容を細部に至るまで規定することのないパフォーマンス基準型契約の本来の性質を反映したものでもある。
  • 契約までの期間への影響:調達準備開始から契約までの期間の平均は237日間から275日間へと38日間長くなった。この内、公募開始から発注までの期間は140日間から173日間へと33日間長くなっている。これらの長期化は専門的、技術的なサービスの調達に関して特に強く見られた。但し、他方でおよそ半分の契約では期間の長期化は見られないかむしろ短縮された。

以上のような成果から、完全かつ適切に適用されたならば、契約金額を下げると同時により向上したパフォーマンスを手に入れることができるというパフォーマンス基準契約手法の主張が強く支持された、と報告書では結論している。様々な側面からの定量的評価や、比較対照実験に相当する要素が盛り込まれるなど、本件調査はパフォーマンス基準調達に関する総合的で定量的な評価となっており、その後、同水準の調査が実施されていないことも合わせ、パフォーマンス基準調達の利点を知る上で貴重な情報となっている。

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(参考文献)

#1
"A Report on the Performance-Based Service Contracting Pilot Project", (OFPP, 1998-05) link