2010年03月21日

PBAガイド

4.1. 調達労働力の開発育成:人材問題と解決への取組

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パフォーマンス基準調達の成否を大きく左右するのは調達チームおよびその周辺の人材である。連邦調達政策部(OFPP)は調達労働力の現況把握と育成プログラムを主導しつつ、各省内にも人材育成のためのガバナンス体制を築いている。

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調達労働力の課題

前章の章末にて取り上げた「調達諮問委員会による調査報告」の中では、連邦政府内の調達関連の労働力について1章(第5章)を割いて問題と改善策を論じている。労働力に関する調査は調査委員会の設立要求の中では言及されていない項目であったが、委員会では、調達を取り巻く環境の複雑化とそれに伴う調達そのものの複雑化に対応するためには人材育成が最重要課題となるものと判断し、敢えて調査報告の中に取り込んだとしている。同報告では、連邦政府の調達業務を支える労働力について次のような問題を指摘している。

  • 調達の複雑化:90年代以降は製品よりもサービス業務が主な調達対象となっており、しかもサービス業務は、要求事項の定義、契約の構成プロセスなど、様々な面で多くの取組努力を必要とする。911テロ以降には劇的に調達の総額が増大した他、準拠しなければならない各種規制も過去5年間で大幅に増加している。加えて、パフォーマンス基準調達、省庁間連携契約など、制度上も多種多様な調達手法が整備され、連邦政府の調達業務は全体として大きく複雑化した。
  • 熟練労働力の不足:90年代には新規雇用が抑制された上に人材育成予算が絞り込まれた。1999年以降の調達関連労働力は概ね安定した水準となっているが、経験年数5~15年の中堅の熟練労働力が不足した状態にあり、世代別の労働力構成は、新入職員の側と高齢職員の側が切り立ったバスタブのような形になっている。しかも高齢職員は徐々に引退の時期を向かえ、今後4年間で半数が定年基準を満たす状況にある。その背後で調達業務の複雑さが急速に増大する一方、給与構造や昇進の面の制度が不備で民間との人材獲得競争において务位にある。
  • 不十分な労働力計画:過去十年以上に及ぶ調達改革の過程で、調達に関わる労働力の定義は様々に変化してきた。そうした状況の下、一貫した基準での労働力の把握は実施されておらず、不足を補うために取り入れられた民間労働力の状況、それらへの依存度なども不明である。大部分の省庁は調達に関する労働力について人的資本整備の体系的な計画を有しておらず、現在あるいは将来の労働力構成について整然とした見通しを持つ省庁は殆どない。

報告書ではまた、連邦政府がその任務を真っ当する上で調達業務の成功、ひいてはその前提となる熟練労働力の醸成が不可欠の鍵であると述べている。例えば近年その災禍も生々しかったハリケーン・カトリーナの上陸や、あるいはイラクでの社会再建の取組といった事例では調達業務領域における問題が取り上げられ、その原因として労働力の質と量における不足が報告されている。パフォーマンス基準調達に代表される新しい調達の枠組みは、それまでの連邦調達システムが想定していたものとは異なる広がりを持つ労働力を必要としている。質と量の両面から新しい時代に適合した組織体制を確立することは、最早避けることのできない課題となっている。